熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「ごめん」と反射的に答えてしまったけど、よく考えると、なんであたしが謝らないといけないの?と思う。

「なぎさちゃんさぁ、みさきに報告することがあるんじゃないのぉ?」

「エ…? 報告すること…?」

なんのことだか全然分からない。

「とにかく会って話したいなぁ」

「うん…。じゃあ、10時にいつもの海の見えるカフェで…」

「え~っ、みさき、今、なぎさちゃんちの前にいるんだけど」

「なにソレ? 自分の都合しか考えてないじゃん!」

本当は、そう言い返してやりたかったけど、あたしは文句ひとつ言わずに、彼女を自分の部屋に上がらせた。


「ちょっと、ちょっと、聞いたわよぉ」

まるで自分の部屋のベッドのように遠慮なしに、ドスッとあたしのベッドに腰を下ろしたみさきちゃんが言う。でもなんか、その言い方、オバさんくさい。

「普段はおとなしいフリして、なぎさちゃんも意外と隅に置けないよねぇ」

「何よ? 隅に置けないって?」

学習机の椅子に腰掛けたあたしが訊く。

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