ケンショウ学級
六時間目:囚人達のジレンマ
『囚人達のジレンマ』

この実験は思考実験と呼ばれる分野にあたり、生命倫理や現行技術では不可能な事象の証明など、実際には出来ないこと(道徳的に不可能であるとされること)に対して哲学的思考をもって探求する方法である。

『囚人達のジレンマ』はその中でも有名であり、人々の道徳的思考や自分と他者の利益に関する思考を見つめる課題である。同様に思考実験として有名なものでは『シュレーディンガーの猫』や『テセウスの船』、『臓器くじ』などが挙げられる。

『囚人達のジレンマ』で問われるのは、自己の利益を我慢してまで再大多数の利益を得るという選択を取ることができるか?にある。

・ある犯罪を犯した2人の共謀犯が逮捕された。囚人となった彼らは取り調べの中である提案を受ける。

「もし君が真実を言い、一方が黙秘した場合には君を釈放し、一方に全ての罪をかぶせる」、「もし2人が真実を言ったのならお互いに懲役5年とする」、「もし2人とも黙秘をしたならお互いの懲役は2年とする」という提案だった。

この場合、2人の再大の利益を考えるならば黙秘をするのがベストな選択と言える。
ただし、自分だけの利益を考えた場合には真実を伝え、一方が黙秘する場合が1番である。しかし、そうお互いが考え両者が真実を語った場合にはお互いに長い懲役を課されることとなり不利益をこうむる。

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