未来絵図 ー二人で歩むこれからー
やっと結ばれた日
「おじゃまします。」
"どうぞ。"微笑まれ、戸惑いながらも、招かれた部屋に足を踏み入れる。智也の部屋は玄関から大きな窓まで、廊下が吹き抜けになっている。日中は玄関から窓の外の景色が見渡せそうな感じがする。1LDKの部屋は、シンプルにブルー系で統一されており、テレビの前にガラス性の低いテーブル、ソファーはなくリクライニングの座椅子。
カウンターキッチンの前には、簡易的なお洒落な折りたたみイス。テレビの反対側には、本棚とパソコンの乗ってる机。
玄関から入るとき右手に1つ扉があった。あれが、寝室なのではないかと感じられる。
「お酒がいい?コーヒーがいい?」
「あっコーヒーで。さっき飲みすぎちゃった。」
「そうか?こないだよりは酔ってないだろ?」
「こないだは、すごい酔ってたもんね。まっきーが一番だけど。」
"あいつは絡み酒だよな。"といいながら、コーヒーを渡される。奈々子は、テレビの前の低いテーブルのところにちょこんと、座り部屋をちらちらと見る。
「そんな珍しい?」
「だって、初めての部屋ってどきどきしない?特に異性とか、何年も上がったことないし、ちらちら見てごめん。」
「あんま、きれいじゃないし。エッチなもんはないよ。」
「エッチなもんって……!?」
「奈々子、顔、真っ赤!」
「……だって!そんなこと、松本さんが言うから…。」
手うちわで赤くなった顔を扇ぐ仕草をする奈々子の手を、優しく智也が握った。奈々子は、一瞬、ビクッする。それを智也は見逃さなかったが、優しく尋ねる。
「まだ、男、怖いよな?……おれも、怖い?」
奈々子に熱い視線を注ぐ智也に"松本さんは怖くないよ。"と首を振りながら答える。
「……好きなんだ。…もう、入社した頃から。」
「…松本さん。」
「彼氏いたし、言うつもりもなかった。話し聞いて、彼氏と上手くいってないんじゃないかと、思ってた。あんな事件のあと、別れて、すぐには好きなんて言えなかった。」
「松本さん、いつも、守ってくれてありがと。今日だって。」