溺れる恋は藁をも掴む
コンプレックスからの始まり

 誠治さんと私はいわゆる合コンで知り合った。

 私が務める建設会社のコンピューターシステムを作っているのが誠治さんの務める会社であり、たまたまシステムの点検に来ていた、誠治さんの同僚のである沢口晴彦に、同期の西園寺優奈が声を掛けられ週末のお疲れ飲みを兼ねての合コンが開かれた。

 優奈に声を掛けられた、女子メンバーの中に私が居たんだ。


 優奈は我が社の受付嬢であり、美人でスタイルも良く、明るく華のある笑顔の持ち主。
 所謂、モテ女だ。


 私は…………

 名前が華なのに、華もなく、誰が見ても名前負けした女。

 そういう合コンに声を掛けられても、引き立て役は覚悟の上。

 人数合わせに呼ばれる事もアリ。


 それでもさ……
僅かばかりの期待くらいはするのよ。


 『週末に時間を気にしないで、同僚とお酒を飲んだり話したりする雰囲気が好き』


 ーーなんて言ってしまうのは建前よ!



 女だからね……
突然、恋が始まるかもしれないチャンスを、楽しみにしちゃったりするんだ。



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