溺れる恋は藁をも掴む
最高の理解者
 華と一夜を過ごし、アパートに帰った。

 就職してから、一人暮らしを始めた。
自分の稼ぎだけで生活していく覚悟を持ち、どんなにイヤな事があっても、逃げ出せないプレッシャーを与えた。

 そして、一人になりたい気持ち。

 そんな思いからだったな……動機は。

 ワンルームの部屋は、俺の生活スペースとなった。


 無駄なものは、一切置かない主義。

 キッチンに小さな冷蔵庫。
 その上に安い電子レンジ。
 小さなテーブルと椅子二組。

 自炊は余りしない。
万が一の時に、使うくらいの調理器具と調味料。
 それと小さな食器棚。
 バスルームにある小さな洗濯機。

 六畳ほどの部屋には、ベッドとビジネス用のデスク。

 本棚にオーディオ。

 備え付けのクローゼットなどを利用して、洋服などを収納する。


 部屋は、殺風景を絵に書いたような、モノトーンの色で統一されて、落ち着いた空間っていうより、『社会人になって間もない、一人暮らしの男の部屋なんてこんなもんだろ?』程度の部屋だ。



 ベッドに疲れた身体を投げ出し、目を閉じた。



 そして、さっき別れたばかりの三浦華の事を考えた。
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