ぼっちな彼女と色魔な幽霊

翌日の昼休み。お弁当を屋上で食べながら呟いた。

「今、思うとあの男の子、ヨウに似てたかなぁ」

ヨウはもうおにぎりを食べ終えて、腕で頭を支え寝転んでいた。

「はあ?」

「ヨウの小さい頃ってあんな感じの顔だったんじゃないかって思ったの。昨日の幽霊の子」

「まだ言ってんのかよ」

「だって見間違いだと思えないくらい、はっきり見えたんだよ?」

「はいはい」

「わたし今まで本当に霊感なんてなかったからさ。
ヨウだってなんで急にこんなにはっきりくっきり見えるのかわかんないくらいだもんね。
もうひとり見えたってことは……やっぱりきちゃいましたか。霊能力」と、自分の手のひらを見た。

「霊気でも出せるとでも思ってんのか?少なくとも俺からは、なんのオーラも霊感みたいなのも感じねーぞ」

「霊気かぁ。霊気が出せれば仕留められるのかな。隣の幽霊……」

「なんか言ったか?」

「いいえーなにも」と、お茶を飲みこみごまかした。

「それより。午後の授業が終われば、お待ちかねの放課後だな」

聞こえないふりをする。ヨウはわたしが二嶋くんのことを好きだと決めつけているから、からかいたくて仕方ないだけなんだ。

「お前、今日ずっと二嶋のこと意識してただろ。あんなんじゃ、ばれるぞ。ばれてもいいのは、駆け引きのできる女だけだからな。お前はばれたら自滅するだろ」

「うるさい」としかめっ面をした。
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