アメトムチ。
ケッカトインガ
「キミ、ここの社員だったんだ」
「き・・・きの・・」

私は、「気のせいです」とか「人違いです」と言おうとしたけど、顔を俯けたまま、だんまりを決め込むことにした。

やっぱりこの人、あのときの「彼」だ。
声が・・メガネだって。
ラフな格好も似合っていたけど、仕立てが良いように見えるダークグレーのスーツ姿も、意外と似合ってる・・・とか!
原知佐子っ!
こんな時に一体どこをチェックしてるのよっ!

・・・でも、なんで彼がここにいるわけ?
なんで幸村部長は、この人を総務部に案内してるの?
総務関係の新しい取引先の担当者、とか・・・庶務課では聞いてないけど。
それともアレ?
まさか、この人「も」、「イ・ソノン」の社員さん、とか・・・?

思い至ってしまったその考えに、私はドキッとしてしまった。
それを裏づけるように、「あぁ、そういうことか」と言う彼の声が上から聞こえて、私は顔を俯けたまま、体をビクッとさせた。

なんか、すごーく嫌な予感が・・・する。

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