そろそろ、恋始めませんか？～優しい元カレと社内恋愛～

元カレになった彼

「俺、緑川さんてもっと気難しくって、取っつきにくい人だと思ってましたよ」
太田さんが、真面目な顔していう。


「私が？気難しい？そう見えますか？」
職場での人付き合いを避けてたから、人嫌いとか、取っつきにくい人だと思われたんだ。

「いいえ。実際の緑川さんって、普通の人ですね。気難しいとか、変わってるとかそういうの全然ないですよ。むしろ、可愛いっていう方が近い」


私は、危うくビールをこぼしそうになった。

「ちょっと、止めてください。変なこと言うから、ビールこぼしちゃったじゃないですか」
ハンカチを出して、口元を拭く。

太田さんが、他にも拭き忘れたとこがあるんじゃないかと、近づい来る。

私の洋服に、染みがついてないか調べようと、おしぼりを持った手を伸ばしてきた。


「大丈夫です。濡れてませんから」
おしぼりを、手で押さえようとした。

私が余計なことを言ってしまったから、周りの男性社員が、太田さんと私のことをからかった。

大きな声で冷やかされたから、長井の耳にも届いたのだろう。

時々、長井が、こっちを警戒するような視線を送ってくる。

大丈夫だってば。


すぐに、立ち上がって駆けつけて来て、冗談はよせって言いに来るんじゃないかって程、こっちを見てにらんでる。