【完】さらば憧れのブルー
✽2✽

私の毎朝の日課は、家のリビングの木製の小さな棚の上に置いてある、小さなフレームに入った両親の写真の前の一輪挿しの水を変えることだ。

雄兄が、朝ごはんの支度をしている間に、身支度を整えて、食卓テーブルに着く前に行う。



「お父さん、お母さんおはよう」



水を変えた一輪挿しの場所を整えながら朝の挨拶をする。

両親は昨年不慮の事故で亡くなった。



「準備出来たよ。食べようか」



雄兄に声をかけられ、食卓テーブルのいつもの席に着く。

二人そろって目配せをしたあと、一緒に「いただきます」をした。

几帳面に等分にきりわけられた、出来立てのふわふわの卵焼きを頬張る。



「美味しい!」



「そう、良かった」



雄兄は、私が卵焼きを食べている姿を見て、ほっとしたように微笑むとご飯を食べ始めた。



「今日はバイトあるの?」



「ううん。今日は休み」



「そう。迎えは何時がいい?」



「んー……どうなるか分からないからこっちから連絡するよ」



「分かった」
 


雄兄はそう言うと、ご飯を食べている箸を止めた。

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