恋愛結婚させてください!

誤解されるふたり。

目が覚めると、知らない天井が見えた。
頭が痛い。
「アタタ」と呻きながら、頭を動かすと、隣にオトコの顔があった。
「うわあ〜」と飛び起き、ベットから落っこちる。
「コムギ、うるさい。」と私の名前を呼んで、後ろを向いた。
「と、トウマ君?!」と恐る恐る顔を覗くと、「うーん。」と唸ってまた私の方に寝返りを打った。
私はベットの前のフローリングに座り込んだまま、
自分の身体を確認する。キャミソールに下着は着けている。
きっと、してない。いや、絶対してないよね。
「と、トウマ君、ねえ、…」とそっと声をかけると、
「安心しろ。抱いてない。」と眼鏡をかけていない切れ長の瞳をゆっくり開けて、
「昨日、ベットに寝かせたら、ひとりにしないでって抱きついたのはおまえだ。
まったく、世話の焼けるオンナだ。
俺だって、男だから、次回は美味しくいただく事にする。って事で、
サッサとシャワー浴びて服を着ろ。
今更、襲われたいのか?」と機嫌の悪い声を出して、再び目を閉じた。
「すっ、すみません。直ぐにシャワーを浴びて、服を着ます。」と慌てて立ち上がると、
「コムギ。」と目を閉じたまま、私を呼び止める。
私が「…はい。」と小さな声で返事をすると、
「おまえの胸が案外あるって事がわかってよかったよ。」とクスクス笑って後ろを向いた。
「…!」私は声も出せずに顔を赤くして、
バッグとハンガーにキチンとかけられた服を回収し
足早に部屋を出て、バタン!と扉を閉めた。

あほトウマ!!



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