結婚も2度目だからこそ!
「あ、そうだ、京香ちゃん。じゃあ今日仕事終わったら飲みに行かない?せっかくこうやって再会できたんだし、それのお祝いってことでさ。ゆっくりと話もしたいし。もちろん奢る。どう?」

まさか先輩から誘われるとは思わず、また胸が高鳴る。

「い、いいんですか?私凄く飲んじゃいますけど」

「お、いいね。じゃ、決まり。俺も今日は定時で仕事終わらせるように頑張るから。もし終わらなそうでも何とか早く切り上げるからさ、終わったら一階のロビーで待っててくれる?」

「は、はい!分かりました。けど、あまり無理しないで下さいね」

「サンキュー。その言葉だけで頑張れそう」

そう言って先輩はエレベーターのある方へと足早に消えていった。



私も足早にオフィスに戻る。
胸の高鳴りは依然止まらなかった。

でも、この高鳴りは好きだからとかではなく、嬉しさからくる高鳴りだ。


楽しみって気持ちになったのは、いつ振りなんだろうか。

圭悟と不倫相手のあの場面を見てから、私の心の中に楽しいことや嬉しいことなんて明るいものは何もなくて。

ずっと、もやもやとうす暗いままだった。


久々に感じる、この温かな気分。


やっぱり働いて良かったと改めて思った。
殻に閉じこもらず、無理してでも外に出ていくのは大事なんだと、そう思った。


「よし、午後も頑張ろう!」

そう自然と私の口から、その言葉が零れた。

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