結婚も2度目だからこそ!
2再会から交際に至るまで

――働き始めて、約2ヶ月程経った。

だいぶ仕事にも慣れ、何とかこなせるようになってきた私。
同じ部署の人たちとも少しずつだけど話せるようになり、毎日が充実していて楽しい。

先輩はあれから、毎週金曜日になると私を飲みに誘ってくる。
私は暇だからOKするんだけど、どうしてこうも毎週誘ってくるのか、とても謎だった。

だからある日の金曜日、いつものように先輩に誘われたので、思い切って聞いてみた。


「先輩は暇なんですか?たまには違う人と飲みに行ったらいいのに」

その問いに先輩はこう返す。

「京香ちゃんと話するのが楽しいんだよ。この会社だと楽器の話できる人いないしさ」


実は、先輩は高校卒業してからも楽器を続けていた。
大学の部活も吹奏楽部に所属して、なんと全国大会にまで出ていたらしい。

大学卒業後は地域の吹奏楽団に入って、昔ほど楽器漬けではないものの、年に一回の定期演奏会に向けて吹いているそうだ。


それを聞いた時は、先輩が楽器を続けていたことが嬉しくて。


だってトランペットを吹く先輩は、誰よりも輝いていたから。

本当に楽しそうに吹くんだもの。
先輩が奏でる音も、楽しいって気持ちがいっぱい溢れてて、聴いていて明るくなれる、そんな音だった。

その姿がまだ見れる、その音がまだ聴けるってことが、とても嬉しかった。


だけど、私は高校卒業してからは大学の部活にも入らなかったし、もう楽器を吹かなくなって何年も経つ。
多少なりとも吹奏楽の話はできるけれど、そんなに知識もあるわけじゃない。

音楽の話っていってもはしりの部分だけ。
ましてや吹いていた楽器が違うし、深い話をされても応えられない。

それなのに、どうしてこうも私だけ誘うのか……。
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