結婚も2度目だからこそ!
「……しかしさ~、なんで新居でそんな浮気するかね?バカなんじゃないの?」

ビールを片手にそう話すのは、今日のお疲れ様会をセッティングしてくれた、沙織(さおり)。

彼女とは小学校からの幼馴染である。

昔から思った事はハッキリと口に出す沙織は、年を取るにつれてその内容がどんどんと毒付いてきて、聞いているこちらがハラハラするほどだ。

でもなんだかんだ言っていい人だから、憎めない。
正義感が強くて、根は優しいから。

だから付き合っていられるのだと思う。


沙織の隣にいるのは、中学校から仲良くなった有希(ゆき)。
彼女はこの中で誰よりも早く結婚している。

有希から短大卒業と同時に結婚する、と聞いた時には驚いたもんだ。

結婚して5年。
けどまだ子供はいない。

理由は、『もう少しお互い自分の時間を楽しみたい』だからだそう。


だったら結婚ももう少し後にすればよかったんじゃ、なんて思ったけど、それぞれの考えがあるんだろうし。

そんな結婚生活でも上手くいっているのだから、やっぱり結婚って不思議なもんである。



「浮気するならバレないようにやれってんだよね。謝るくらいなら最初っからやらなきゃいいんだよ」

有希はビールのおかわり、とテーブルに置いてあるボタンを押してそう言う。

「そこだよねぇ……。何考えて家で浮気なんてしようと思ったんだか。ラブホで密会してりゃわたしが知ることもなかっただろうにさ」

どうせバレるんだったら、ホテルから出てきたところとか、二人で歩いているところとか、そんな知り方が良かったのに。

自分の夫が他の女と全裸でよろしくやる姿なんて、見たくなかったわよ。


「多分あの二人の姿は忘れないと思うわ。トラウマレベルだよ」

「だろうねぇ。心中お察しするわ……」

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