ウサギの王子に見初められ。
お引越しお疲れ、三上くん
なんにもないよと沙耶に行ったけど、実は三上くんからその後連絡はあった。


【真奈ちゃん、週末暇?】

メッセージが入ったのは木曜日。

【どうしたの?】

【ウサギの近くに引っ越そうかなと思って。
今のところ元々気に入らないんだ。どうせなら契約更新前に越してみようかなって】

【そうなんだ。いいとこ見つかるといいね】

【でね、真奈ちゃん土地勘ありそうだから、つきあってくれない?お礼に飲み代持ちます!】

家の近くで飲む。それちょっと魅力的。

OKのスタンプを送ったら、感激しましたっていうウサギの絵が帰ってきた。こういうかわいいの持ってるところが三上くんだなぁ。




待ち合わせた土曜日。

開発部は基本私服なので、別にいつもと一緒でいいんだけど、動きやすい方がいいのかな、部屋探しって。どこ見るのかわかんないけど、しゃがんだりする?

迷ったけど、最近買ったジーンズにお気に入りのピンクシャツを着て袖をロールアップした。いざという時は働けるけど、一応かわいいぐらいを目指して。

別にかわいくなくてもいいんだけど、三上くんとあまりに釣り合わないと変だし。いや、別に一緒に見に行くだけでなんでもないんだから釣り合わなくてもいい?



何こんなに悩んでるんだろ、私。誰も見てないよね。




駅で会った三上くんは、いつも通りのラフなTシャツにパーカーだった。何も考えてきてないな、でも普通なのになんとなくかっこいいのはスタイルがいいのかな、と考える。


ネットで候補を絞って電話をし、内覧物件を先に決めてあると言う。本気で1日で決めるつもりらしい。

意外とテキパキしてるんだなぁ、王子。



「彼女さんはご希望何かありますか」

「いえ、友達なんです。土地勘あるでしょって言われて」

連れて来てくれた営業の人が聞いてくれるのに答えつつ、よく考えたら、検索段階で手伝ったほうが力になれたのではと思う。

三上くんにも言ったけど、そうかな、とぴんと来ない様子だった。

だいたいざっくり眺めるだけで、結論から言えば、私はスカートでもなんでもよかったようだ。ま、いいか。
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