ウサギの王子に見初められ。
三上くんだから、大丈夫
あの日、付き合うことになってから1か月。

告白の後三上くんがあまり連絡をくれなかったのは、仕事が忙しくなってきたせいもあったんだと知った。

空けておいた土曜日は結局休日出勤になってしまい、日曜のフットサルは私がいきなり『彼女』として改めて行くのは恥ずかしいから一人で行ってもらった。

なんだかんだと予定が合わなくて、結局ちょっとご飯食べたりとか、今までとあまり変わらない感じでいる。



早く帰れると連絡をくれた日に待ち合わせた居酒屋さんで、三上くんは謝ってくれる。

「ごめんね、オレから言ったのに結局ほったらかしみたいになってて」

「そんなことないよ。ご飯食べに行ったりできるし、マメに連絡くれるし、三上くん忙しいのに悪いかなって思ってる」

「そう?」

三上くんはあいまいに微笑むけど、むしろこれ以上の急展開には心の準備が追いつかないかも。



時々ご飯を食べに行って、帰り際にキスする。私はそれだけで十分付き合ってる気がする。

でも普通はもっとデートしたり、あとは、たぶん、部屋に行ったりとかするんだよね。

友達だったときは「遊びに来てね」「うん、行くね」という感じだったのに、今は変に身構えちゃってるのがきっと三上くんにも伝わってる。



三上くんは無意識みたいなんだけど、付き合う前とは雰囲気が違ってきた感じがして慣れない。男っぽいんだよね。

好きな人の前で緊張するクセが今さら出てきたみたいで、私も少し困っている。友達から好きになるっていうのは、祥子にも指摘されてた通り初めてで、きっと自然に振る舞えると思ってたのになぁ。

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