クールなCEOと社内政略結婚!?

②見合い日和

 そしてその週末の土曜日。私は父のリクエストに応え、待ち合わせの十一時に間に合うように美容院で着付けを済ませて店に向かった。

 前日の残業がたたって、朝起きるのがつらかったけれど、着物を身に着けると背筋が伸びる。普段はドレスを作っているけれど、こういった着物の生地や色使いに触れることも大切だと改めて思う。

……まぁ、これも親孝行のひとつだしね。

 タクシーに乗って到着したのは、老舗ホテル。どの時期に来ても庭園が美しく外国人観光客にも人気だった。

 そこの一階にある料亭に向かう。案内された座敷にはすでに父が到着していた。

「ごめんね、遅くなって」

「あ、あさ美……」

 顔を見せた私のまえで、すでに目を潤ませる父。きっと母の面影と重ねているのだろう。しかし毎回慰めるのも面倒なので、私は父の向かいの席に腰を下ろそうとする。

「あさ美は、そっちじゃなくてこっち」

 不意に隣の席に座るように言われて気が付いた。料理の準備が三人分されていることに。

 席を移動しながら、父に尋ねた。

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