きみのためのプレゼント
ギフト
嫌なことがあると、私は走っていた。走ることで全てを忘れようとしていた。でも、今はその一番の方法ができない。


頭の中が混乱してる。翔平に聞かされた言葉で。



光くんが【ナナ】だったなんて、まだ信じられないし、嘘のようだ。私にとって、【ナナ】は・・・友達なんて二度と作りたくないと思うキッカケになった存在。


思い出したくなくて、記憶の片隅に追いやっていた。それくらい、傷ついたんだ。返事の来ない一方的なメッセージを送り続ける日々は。



『初めまして、ハナです。登録してみました。よろしくお願いします』



十四歳の誕生日。プレゼントには携帯を買ってもらった。でも、もうその時には、陸上一本に絞っていて、友達と呼べるような子もいなかった。


そんなとき、お兄ちゃんに教えてもらったSNS。興味本意でやってみた。ハンドルネームの【ハナ】は八月七日の誕生日から。



それからすぐに何人かにフォローされたものの、自分にはあまり関係のないようない人たちばかり。


このままでは、三日坊主で終わりそうだと思い、陸上関連の人たちをフォローするうちにフォローしてくれたのが【ナナ】だった。
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