腹黒エリートが甘くてズルいんです
男だけが人生じゃない、なんて
***


「ちょっと、相談したいことがあるんだ」

あたしの突然の申し出に、由依は二つ返事でオッケーをしてくれた。


出光先輩のピンチヒッター的な役割(そこまでの重大な働きはしていないけれど)をしたあの日から1週間。
お盆が目前の金曜日の夜、あたしと由依はまたいつもの和風居酒屋にいた。


通い慣れた居酒屋、大親友と二人。
そんな状況なのに、とある決意を口にするのが怖くて、妙にドキドキする。


あたしにしては、突発的なことではなく、昔からの気持ちがいよいよ表に出てきた、という印象なのだけれど、それを果たして目の前の友達に伝えたときにどんな反応を示されるのか、というのは、好きな男子に告白するくらい勇気と覚悟がいる。


「……当てましょうか? 仲田さんのお悩み」


おつまみを適当に頼み、ハイボールで乾杯をして一息ついたところで、由依が謎の演技をしてくる。
何その距離感。
何故に急にあたしに敬称をつける?
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