***


「はい、まずはかんぱーい!」



カチンと鳴ったジョッキの音が、夏を伝える。
ごきゅ、ごきゅ、とキンキンに冷えたビールの喉越しを楽しむあたしに、酒井君の冷たい視線。


「仲田ぁ……」


「ん? なによ?」


「うん。やっぱりそこから間違ってるな」


はい?? と思いながら、枝豆に手を伸ばす。何やら言いたげな酒井君は放っておいて、とりあえずあたしはこの夏一発目のビアガーデンを謳歌しようと、枝豆を口に入れた。


「もーーーー……」


何やらお怒りのご様子。

「いる?」とあたしの差し出した枝豆を受け取り、口に含みつつ酒井君がぼやく。


「大体さ、お前には色気っつーもんがないわけ?」


なんだ?
確かに、あの再会から1ヶ月ほど経ったこの間、酒井君からお誘いがあった。

松永物産の本社勤務で、その上既婚者の酒井君が忙しいのは当然で、もしかしたらあの日のまんま、『仲田を35歳までに幸せにしてやる』という約束なんてうやむやになっても当然だと思っていたから、嬉しかった。

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