派遣社員の秘め事 ~秘めるつもりはないんですが~
お姫様扱いにも負けませんっ
「どうしたの? 蓮ちゃん、ご機嫌ね」
翌日、秘書室に行った途端、葉子が言ってきた。
「え、なにもご機嫌じゃないですよ」
本当にそんなつもりはなかったのだが、葉子は、にんまり笑ってこちらを見、脇田は少し渋い顔をしていた。
渚が来て、全員が挨拶する。
「おはよう」
と言った渚が社長室に入ろうとしたのを脇田が呼び止めた。
「社長、今週の日曜ですが」
「日曜は空いてたはずだろ。
なにも入れるな。
余程の急ぎの用件以外は」
と言われ、脇田は、
「……はい」
と黙る。
いやあの、デートは別に来週でもいいんですけどね、と思った蓮は、渚が消えたあとで、脇田に訊いた。
「あの、日曜、社長、お仕事があるんですか?」
「ああいや、別に今週じゃなくてもいいんだけど」
と言いかけて、淡々とした口調で、
「ああ、秋津さんの方の用事は別に急ぎじゃないの?」
と訊いてくる。