地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
地味男の豹変




大学を卒業して、お菓子の卸売業の会社に就職し、事務として働く事になった私は、まずは商品を覚える為に一ヶ月間は倉庫で仕事をした。


倉庫での仕事は楽しくて、パートの人は皆女性で私の母と年齢が近いのもあり、娘みたいな感じで皆は優しく接してくれた。
配送の男性の人も分からないことは丁寧に教えてくれたし、事務で入社したけど一ヶ月が経つと倉庫から離れるのが寂しかったのを今でも覚えている。


倉庫で商品の名前や、メーカーも少しは覚えた。
だけど商品がありすぎて知ってるお菓子以外で全部を覚えるのは難しかった。
私なりに覚えれる範囲で覚えたが、いざ事務の仕事をするようになるのは不安で仕方なかった。


そして事務として仕事をする初日、常務から私は営業部の主任のアシスタントをするように命じられた。
主任の名前は山岡礼二(やまおかれいじ)。
彼は優しくて、仕事も丁寧に教えてくれた。
同じ事務で働く先輩にも色々と教えてもらったおかげで、不安は徐々に消えていった。


そして入社して半年が過ぎた頃、いつものように発注書をパソコンで入力した。
だけど仕事に慣れた私は、確認をしたつもりが一つの商品を違う商品と間違えて発注をしてしまっていて、大きなミスをしていた。


最初の頃は何度も間違いがないか見直しをしていたけど、段々となれてくると見直しをするのも一回になり、発注書にも最近はチェックを入れていなかった。


大きなミスをしてどうしたらいいかわからなくなり、泣きそうになった。


どうにか商品は定番の在庫があったから得意先にはちゃんと納品が出来たけど、間違えて入荷した商品は返品できずに売らなくてはならない。





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