地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
優男の本性




次の日の朝、私は用意を済ませ笹山くんが来るのを待っていた。


笹山くんから先程、『今から行く』とラインが来たときに、やっぱり忘れていなかったんだと諦めた。


私はデートなんかしたくないんだけどな……。


山岡主任にも悪いと思う気持ちもあるし、だからといって笹山くんが前に言ってたように、山岡主任とは不倫で、正式に付き合っているような関係ではないから、私が誰とデートしようがキスをしようが何も言えないよね。


一途に山岡主任を愛していたけど、コソコソ笹山くんとキスをしてデートをしている自分にも驚いている。


不倫の関係をバラされたくないって事で笹山くんに流されてるんだけど。


いつまでこんな事をしなきゃいけないんだろ。


そんな事を考えていると『着いた』とラインが笹山くんから来て、私は家を出た。


私は笹山くんの車に乗り挨拶をした。


「おは……よう」


笹山くんを見た瞬間、心臓が止まるかと思った。
スーツ姿の彼しか見た事がなかったけど、私服姿があまりにもかっこ良すぎて、誰が見ても見惚れてしまうだろう。


私、こんな人とデートしていいんだろうか?


目のやり場に困った私は、挨拶をして直ぐに俯いた。


「おはよ、朝から可愛い反応しちゃってマジ反則だろ?そんな顔して見つめられたかと思ったら、目を逸らして俯くなんて……今すぐキスしたくなるだろ?」


「な、何いっ……っん」


私は朝からそんな事を言われ、彼の方を見て言い返そうとしたら、言葉を遮られてキスをされてしまった。


「朝から可愛い事してんな、俺を殺す気?」


そ、それはこっちのセリフだってば!!


嬉しそうにニコニコした顔も、格好よくて文句すらでない。


たまにみせる子供っぽい表情は、何だか母性本能をくすぐられる。


年下も年上の女性もそんな彼を見たらほおっておかないと思うのに、何で私なんだろ……。




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