地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
泣くのは俺の前だけ
う、うーん。
か、体が重い……。
私が目を開けるとそこには……。
「なっ、何で!?」
「ん……朝から大きい声出すなよ」
「当たり前でしょ?何で私のベッドに寝てるのよ」
だって笹山くんはリビングのソファーで寝てたのに、どうして私の部屋に居て私のベッドに一緒に寝てるのかわからない。
「夜中にトイレで目が覚めたけど、寒かったから玲美の横で寝たんだ。一人より二人のが温いだろ?」
何だか当たり前のようにサラリと言う彼に呆れて物が言えない。
「それより重いんだけど……」
「だって玲美を抱きまくらにすると温かくて気持がいいから離れたくねぇ」
「私は抱きまくらじゃないんだけど……」
「じゃあこれならいいだろ?」
そう言って私の体と彼の体が入れ替わった。
私が言いたいのはそういう事じゃないんだけど。
何故、彼の体の上に私が乗るような形で抱きしめられてるんだい?
「これなら重くないだろ?」
満足そうに笑う彼の顔がイケメンすぎてムカツク。
「私は起きたいから離してくれる?」
何故、朝からこんな事をしなくてはいけないんだか……。
「ケチだな?仕方ないから離してやる。だけどその前に……」
そう言って彼は私に軽くキスをした。
「さぁ起きますか」
キスすら当たり前のように彼はベッドから起き上がった。
そんな私もキスをされても当たり前のように受け入れてしまっているんだけども。
私達は一階のリビングに降りて歯磨きをして顔を洗った。
その後は着替えて朝食を作り一緒に食べて、片付けを終わらせた後は彼にリビングで待ってもらいメイクをした。