地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
もう離すつもりないから



あれから凪と貴之と三人で来たのは焼肉店だった。


あまり食欲はなかったけど、お皿にお肉を沢山いれられて、結果沢山のお肉を食べさせられた。


その後は家まで送ってもらい、疲れた私はお風呂から上がるとそのまま眠りに就いた。


朝目覚めてスマホを見ると、陽からラインのメッセージが届いていた。


【今日はゴメンな?明日はまた仕事が終ったら家に行くから】


そうメッセージが来ていた。


私が何も知らないと思って当たり前のように家にくるなんて。


本当に何もなかったら私に理由を説明出来る筈だ。


それをしないって事はやっぱり……


目覚めて直ぐに胸が苦しくて、朝から泣きそうになった。


私は陽に返事を送った。


【昨夜に急に両親が帰ってきたから、暫くは家には来ないで下さい】


そう送った。


私は陽の口から事実を聞くのが怖くて逃げてしまった。


だけど会社に行けば必ず顔を合わせるし、どうにかうまい具合に逃げ切るしかない。


私は会社に行く準備をして家を出た。


会社の駐車場に着いて気持を切り替えた。


オフィスの中に入って自分の机の隣を見ないようにして、荷物を置いて『おはようございます』と小声で言って直にトイレに逃げた。


陽は既に会社に居た。


私は朝礼が始まる時間にオフィスに戻り、朝礼が終わるといつものように仕事モードに切り替えた。


陽にも仕事の事で話しかけられたがどうにか対応し、陽が営業に出掛けるとホッとした。


山岡主任の存在も、今ではあまり意識をすることもない。


あんなに好きだった三年間が嘘みたいだ。




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