落ちこぼれ劣等生
序章 亜麻色の風
亜麻色が視界を覆う。
それが人の髪だと気付くのにはしばらくかかった。
では、誰の髪か。何の気もなしに左を見ると、発生源がわかった。それと共に軽く目を見開く。
髪の主は一人の少女だった。造りものような端正な顔立ち。ミュージックプレイヤーを微笑みながら眺めているものの、殺気が辺りを渦巻いている。
その、殺気の濃度。吸うだけで毒気にやられそうだ。
これほどの殺気を無意識に発するとは
──彼女は一体、何者なんだ。
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