七夕幻想 《囚われのサンドリヨン後話》
3 夢で逢えたら
夜ーー

 バカに大きいキングサイズのベッドは、一人寝にはいかにも不向きなシロモノだ。
 
 ここにポツンと寝ていると、『留守中も俺を忘れるな』とでも言われてるみたいに嫌が応にも人肌を恋しく思わせる。

 イギリス式のベビーシッターから、『ベビーは1人で寝かせるコト』と厳しくしつけられ、チビ達はもう自室でスヤスヤ1人で眠るから、添い寝をすることもない。
 私の方が寂しいくらいだ。

 
 眠れない私は、ゴロリと1つ寝返りを打った。

 実際、タカトラさんと私がここで夜で過ごした日は、2年間のうち数えるくらいしかない。

 昼間に話をしたとおり、出張やパーティの多い彼は、新婚当初その殆んどに私を伴っていた。


 程なくして双子ちゃんの妊娠が分かり、私は喜び勇んで報告した。
 すると彼は、見たこともないような戸惑いを見せ、次の日にはこう宣言した。

『子供から母親を奪うワケにはいかない』と。
 それからは、数々の出張や社交場に私を連れていくのをピタリと止めてしまった。

 ドクターを3人もつけられた私は、何かと不自由だったし、タカトラさんと居られなくなったのがひどく寂しかったのを覚えている。
 けれど、彼の気持ちが分かったから、甘んじてそれを受け入れた。


 両親の情を知らずに育った彼にはきっと、特別な想いがあったんだ、と。


 なのに悲しいかな、彼にはお金をかける以外の愛情表現が分からない。

 双子ちゃんが生まれた時も、『こわしそうだ』と抱くのを散々躊躇った。
(無理やり抱かせたけどネ!)
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