ノラネコだって、夢くらいみる

キスとスキ

「………ただいま」


 帰宅し、キッチンにいたおばあちゃんに挨拶。


「おかえり、鈴ちゃん。朝早くからこんな時間までお出かけして、疲れたんじゃない?」


 今は、21時過ぎ。長居するつもりなんてなかったのに。あれから、モモにあっちこっち、連れ回された。


「おばあちゃん、これ」

「あら、なにかしら」

「お土産」

「まぁまぁ。可愛い袋」


 どこかに出かけて、うちにお土産を買って帰るなんてことしたの、小学校の修学旅行以来。


「開けて良い?」

「…うん」


 それだけ答えると、私はお風呂場に向かった。

(暑い。疲れた。眠い……。)

 シャワーを浴び終わると、リビングでおばあちゃんが私のお土産をまだまじまじと見ていた。


「これ、可愛いねぇ。クッキー1つ1つがキャラクターになっていて」

「…おじいちゃんは?」

「今日は、残業みたい」

「そっか」


 おじいちゃんは、定年退職せずにお仕事を続けている。

 ………はやく、楽させてあげたいなぁ。

 2階の部屋に向かうと、デスクトップPCの電源を入れた。これが私のクセ。

 たいてい、最初にこの動作をする。

 人が、好みの番組を見るため、はたまた無意味にTVの電源を入れるように、私はPCで同じようなことをする。

 特別急いで調べものがあるわけでもない。ただ、気が向けば今日のまとめニュース(主にヲタ向けなもの)を見たり、アニメを鑑賞したり。

 ネトゲは気分が乗れば何時間もする。

「………」

 電源を入れたものの、モニターには向かわず、ベッドにダイブした。

 そういえば、昨日もこんな感じだった。部屋に入るなりダイブ。
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