小さな恋、集めました 【学園編・1ページの短編集】
俺様男子・勇輝と放課後、校舎裏
 クラスの男子に呼び出された校舎裏。告られたけど好きな人がいるって断った。

 あーあ、告ってくれたのが勇輝だったらなぁ。

 あたしはため息をついて壁にもたれた。

「おい」

 不機嫌な声が聞こえてきて、ドキッとする。右側を見たら当の勇輝がいた。

「な、なに?」

 告られたの見られてた? でも、モテる勇輝のことだもん、あたしのことなんて気にしないよね。

「英語のノート見せろっつったろ」
「別にあたしのじゃなくてもいいじゃん」

 そうやって絡まれるたびにあたしが胸を痛めてるって気づいてよ。

 切なくなって壁から体を起こそうとしたとき、勇輝がいきなりあたしの顔の両側に両手をついた。壁ドンってやつだ。

「おまえのがいいんだ」

 ほら、こうやってまたあたしをドキドキさせて苦しめる。

 至近距離で強い眼差しで見つめられて、息が止まりそうだ。

「なんでよ」
「おまえのものは俺のものだから」
「はぁ?」

 それが人にものを頼む態度!?

 涙がにじみそうになる目でキッと見上げた。勇輝が怒った声で言う。

「だから、おまえのものは俺のもの。ついでにおまえも俺のもの。勝手に告られてんじゃねぇ」

 勇輝の顔がみるみる赤くなった。

「それって……?」

 どうしよう、期待してしまう。

「いいかげんわかれよ、バカ」

 勇輝の顔が近づいてきたかと思うと、唇をキスで塞がれた。


【了】

野いちご学園エアラブに投稿する前のバージョン。400字以内って難しい。
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