夫婦・・として

☆☆佐原 暁斗


妻の亜紀を突然失い
俺は、目の前が真っ暗だった。

亜紀の為だけに頑張ってきた
それなのに・・・・

あまりのショックに
息子の結斗の事も
頭になかった。

亜紀が、作るものが食べたい
亜紀の笑った顔がみたい
亜紀の声がききたい
亜紀と一緒に眠りたい
亜紀の・・亜紀の・・
そんな日々を過ごし
食べれない、眠れない日の中
俺は・・倒れてしまった。

全てが、どうでもいい・・俺は
医者の話も、両親の話も
耳に入らずにいた。

だが、病院にいると
亜紀が一人になると思い
病院を抜け出し、
勝手に家に戻った。

そんな、俺を両親は、
呆れてしまい
「面倒見切れない」
と、言った。

結斗は、そばにいたが・・会話を
する気には、ならなかった。

そんな日々の中
結斗が、いきなり
怒鳴り・・・
大学に迷惑かけるなら辞めろとか
辛いのは、自分だけじゃないとか
言われた。

俺は、少しだけ目がさめた。
亜紀は、大学で講義をしている
俺を好きだったから
辞めるわけには行かない。

俺は、しぶしぶ大学に復帰した。
まだ、食欲もなければ、ゆっくり寝ることも
ままならない状態だったが
なんとか、毎日を過ごしていた。

そんな時・・・
大学に警察から
連絡があった

俺は、再びあの時の悪夢が
甦りながら・・・病院へと急いだ。
病室に近づくと
笑いながら話している結斗の声が


こんなに、俺が心配しているのに!
と、頭にきて思わず
殴りかかろうとしたら

白衣を着た女に止められ
亜紀が亡くなったことや
結斗の事を言われた。
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