オオカミ御曹司に捕獲されました
9、杉本君のお世話
「へえ、うちの女子寮って文京区にあったんだ」

杉本君が私の住んでる七階建ての寮を見上げる。

「うん、そうなの」

私は元気なく言葉を返す。

病院を出ると、私達はタクシーに乗って私の寮に向かった。

私の着替えを取りに行くためだ。

でも、心の中ではまだ杉本君の家に泊まることに納得出来ない自分がいる。

「杉本君……あのね、やっぱり泊まり込みじゃなくて、明日の朝早く行ってお世話をするっていうのじゃダメかな?」

私は杉本君の顔を見上げ、ダメ元で提案した。

「ダメだね。夜仕事をすることもあるし、梨花にいてもらわないと困るんだ。右手が使えないと不便でね」

杉本君は私の目を見ながらゆっくりと頭を振る。
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