雪に塩
次の休みの日、杠と靱はフラワーフェスティバルへと赴いた。



「うーん、良い匂い!」


「凄いな、もう匂うのか?」



「うん、甘い匂いよ。」



会場である庭園の入口で杠は深呼吸する。


まだ花は見えず靱には全く分からないが、杠には感じるようだ。



「とりあえず順番に回ろうか。」


「そうね。」



季節の花、珍しい花、ビニールハウスには世界各地の花が植えられていたり鉢植えで展示されていた。



靱は花の色や形、説明文を読んだりして杠に解説する。


反対に杠は、靱が感じ取れない花の匂いを身ぶり手振りで表現する。



お互いの情報を重ね合わせながら、咲きほこる様々な花達を五感で感じた。





‥‥桜とサザンカみたいな心の美しいひたむきな愛を込めれば、


ガーベラとカキツバタとすずらんで花束を作った様に、


希望と幸福は必ず訪れる、と言ってくれているみたいだね。‥‥





「買ってくるから待ってて。」


「うん、ありがとう。お願い。」




お昼を挟んで半分ずつ回った後、休憩がてらパラソル付きのガーデンテーブルが並ぶテラスに杠を待たせ、靱はジュースを買いに露店へ向かった。
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