それを愛だというのなら


「健康なら、家族や友達ともっと一緒にいたいと思うだろうけど、病気で苦しみながら生きていくのは嫌」


それに。


「彼氏だって、病気になったらきっと離れていってしまう」


病気は私の心をネガティブにする。

健斗が望んでいる、前向きで明るい私ではいられなくなる。

そうしたら、健斗は私から離れていってしまうでしょう?

そんなこと耐えられない。


「バカな奴だ。だから、のめり込むなと言っておいたのに」


死神くんは私を気の毒そうに見て、ため息をつく。

私だって、そのつもりだった。

けど、仕方ないじゃん。

好きになろうと思って好きになったわけじゃない。

いつの間にか、こんなに好きになってたんだもん。


「いいの。私は、明るくて前向きな彼女として、健斗の中で綺麗な思い出になるの」


やたら下血したり、入院してお風呂にも入れないような私は、見せたくない。鼻チューブだって絶対嫌。

それに、彼は言ったんだ。


『病気じゃないなら、付き合ってもいいよ』と。


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