それを愛だというのなら


健斗がいくら優しくたってやっぱり病気の彼女は重いし、どう扱っていいのかわからないんだろう。

気軽に遊んだり、年頃だからちょっぴりエッチなこともしたくなるのが当たり前。

なのに一緒にいるのにすごく気を遣う相手なんて、そりゃあ嫌だよね。

そう納得しながら、胸のどこかがチクチクと痛んだ。

健斗の中で綺麗な思い出になったとしても、それは本当の私じゃないのかもしれない……。


「まあ、気が変わったら言ってくれ。今のままじゃ本当に地縛霊になりそうだ」


そう言い、死神くんはふっと姿を消した。

その瞬間、部屋の中が明るくなったような気がした。

私、何を考えていたんだろう。

もしかして、本当の私を健斗が好きになってくれたら、なんて淡い期待をしてやいないでしょうね。

無理だよ、無理。

このまま健康生活をエンジョイして死んだ方が、絶対賢いって。

誰が苦しい闘病生活を長く続けたいもんか。


「寝よう!」


スマホのアラームをセットし、布団に入り込んだ。

結局、健斗からの返信はまだない。

いったい何の用だったのよ。

そんなことを考えていたら、なかなか寝付けなかった。

久しぶりに胃の中がムカムカするような感覚を覚え、必死でこらえていた。



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