それを愛だというのなら


三日後。やっと状態が落ち着き、安静解除となった私は、病棟の休憩スペースで電話をかけていた。

ここしか、病棟内で電話をかけられる場所はない。

点滴をされたまま椅子に座り、相手の名前をタップする。

すると、たった三コール目で繋がった。


『もしもし』

「もしもし、健斗? 私だよ」


休憩スペースには他にも座って新聞を読んでいるおじいちゃんや、家族と話をしているおばあちゃんもいるけど、こちらのことはあまり気にしてないみたい。


『連絡待ってた。大丈夫なのか?』


健斗の方は、声をひそめているみたい。

もしかしたら、夏期講習の途中なのかも。参加するって話は聞いていなかったけど。


「うん。やっぱり再発だって。でも、すぐに命に関わる状態じゃないから。心配しないで」

『は……?』

「こっちは大丈夫だから。勉強とか、色々忙しいでしょ? 心配しないで、夏休み満喫してよ」


< 171 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop