それを愛だというのなら
三日後。やっと状態が落ち着き、安静解除となった私は、病棟の休憩スペースで電話をかけていた。
ここしか、病棟内で電話をかけられる場所はない。
点滴をされたまま椅子に座り、相手の名前をタップする。
すると、たった三コール目で繋がった。
『もしもし』
「もしもし、健斗? 私だよ」
休憩スペースには他にも座って新聞を読んでいるおじいちゃんや、家族と話をしているおばあちゃんもいるけど、こちらのことはあまり気にしてないみたい。
『連絡待ってた。大丈夫なのか?』
健斗の方は、声をひそめているみたい。
もしかしたら、夏期講習の途中なのかも。参加するって話は聞いていなかったけど。
「うん。やっぱり再発だって。でも、すぐに命に関わる状態じゃないから。心配しないで」
『は……?』
「こっちは大丈夫だから。勉強とか、色々忙しいでしょ? 心配しないで、夏休み満喫してよ」