それを愛だというのなら
3.止まらない


『今日はちょっと用事があるから。また今度一緒に帰ろう』


水沢くんにそう言われ、私はふわふわとした気持ちで自転車をこいで一人で帰ってきた。

鼻チューブをするときの、人工栄養のバッグをかけていた支柱に通学用のリュックをかけると、ぼーっとしたままご飯を食べ、お風呂に入り、そのまま眠りにつく。

まぶたを閉じると夕方の出来事が思い出されて、なかなか寝付けなかった。

瑞穂、だって。名前呼ばれちゃった。

私も、健斗って呼んでいいのかな。

そんなことをぐるぐる考えながらベッドの中でごろごろしていたら、ふっと体が宙に浮かぶような感覚がした。

気づけば、周りは真っ白で、霧が立ち込めているみたい。

こんな景色を、少し前に見たことがある。

そう、あれは死神くんにあった夜だ。


「どうだ、健康になった気分は」


後ろから低い声が聞こえ、ハッとして振り向く。

そこには、相変わらず暑苦しい黒い重たそうなマントを羽織った死神くんが。

ということは、やっぱりここは夢の中。


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