僕の星

里奈のイメージ

 夜になった。
 生徒達はグループごとにお土産を買いに出かけたが、里奈とゆかりは何となく居残っている。

 二人は旅館の外に出ると、猿沢の池のほとりにしゃがみこみ、岩の上で微動だにしない亀を眺めた。

 里奈はさっきからずっと黙っている。
 しかも、その顔はほぼ無表情。
 一緒にいるゆかりには、会話を拒否する冷たい意思表示に見えたようだ。

「ねえ里奈、なんかやっぱり怒ってる?」
「え?」

 里奈は我に返ったように、ゆかりを見た。

「何が? どしたの?」

 拍子抜けするほど、いつもの里奈だった。
 ゆかりはほっとした様子になると、昼間のことを謝った。

「昼間はごめん。里奈を置き去りにして……」

 りっちゃん達のほうに行ったことを、ゆかりは後悔している。
 里奈を傷付けたのではと、気にしているのだ。

 里奈は笑うと、首を横に振った。

「そんなこと、全然忘れてたよ。それより、お土産買いに行こっか」

 さばさばとした里奈の態度に、ゆかりも安心の笑顔になる。
 二人連れだって土産店へと歩いた。
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