狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
4 惑わす口付け
ところがその1時間後。

「カンパーイ‼」

市内のとある個室居酒屋で、私たちはすっかり意気投合していた。
 
自慢じゃないが、九州地方の大学の体育会系サークルで鍛え上げられた私は、かなりの酒豪。
大神さんも勿論かなりのイける口で、その上、九州の出身とあって地方ネタは尽きない。


というわけで飲み物は、早々にビールから焼酎ロックに切り替わっていた。

普段はオソロシイ上司の彼も、こうして膝を付き合わせてみると、案外気のいい兄さんだ。
 

私は、日頃の恨みツラミや昼間のゲンメツも忘れ、ブレイコー状態で大いにノっていた。

「あーあ、大神サン。いっつもこんな感じだったらいいのになあ~」

「いつもと同じだぞ俺は」

「怖いんだもん。こ~~んな顔で怒るからから。『赤野テメエ…』ってね~」

私がいつもコッソリ皆の前でやっている、彼のモノマネをして見せると、

「オマエが信じられないミスを連発するからだ……だいたい俺、そんな不細工じゃねえし」

彼は少しムッとして返した。
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