狼上司の不条理な求愛 -Get addicted to my love-
6 閉じ込められた!
「で、どうだった?」
「はいっ!万事滞りなく……」

「あ、そう。
で、その後はどうだったの。ホントに……何もなかった?ねえねえ」
「………」

大神さんが会議に出ている最中にバーコード伊丹課長に呼ばれて、こないだの出張の報告をさせられていた私は、ピンときた。

「……課長?
さてはアナタ、わざと教えなかったんですね」
 
「な、なんのことかな?
ササッ、もういいよ。
赤野君も席に戻って、ね?」
 
イヤミ課長、サイアクだ。

後で聞けば、
大神さんの手の早さは、課内はおろか社内でも有名なんだそう。

なのにわざと前情報を与えずに出張を組ませたんだ。

しかも業務中にヘンなことを聞くな!

プリプリ怒りながら席に戻ると、
向かいの水野女史がサッと顔を伏せた。


「そういえば……水野さんも言ってくれなかったですよね」

ジトッと睨むと、彼女は額に汗しながらホホホと笑って誤魔化した。

「あら、忠告はしたわよ?
社会に出たら “知らぬが罪” “自己責任” ってね~」

うう…ヒドイ先輩方だ。
絶対みんな面白がってただけでしょうが。
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