Tower of Fantasy

婚約記念パーティー

シルバンの首都レクトの一等地の中でも一番大きく豪華な屋敷。

その一室で…


「触るな!!」


アクアの怒鳴り声が響いていた。


「私の髪に触れていいのはサーラだけだ!」


「しかし、そのままの髪ではパーティーへの出席は許されません」


「知るか!」


「いい加減にしなさい」


扉が開き、グローシアがずかずか入ってきた。


「グローシア様!申し訳ございません…」


「いいわ。それよりも…」


グローシアはアクアの方を向いた。


「そこのあなた、いい加減におし。冒険者風情が生意気言うでない」


見下すような発言に、アクアはキレた。


「その言葉、そのまま返させてもらう。人間風情が何様だ」


「なんですって?」


「人間風情が何様だと言っているんだ。力を持たぬ者はそのような生意気な発言をしないほうがいい」


「なんなのこの無礼者は。つまみ出してしまいなさい」


「お待ちください!」


再びドアが開き、サーラが息を切らして飛び込んできた。


「おばあさま、彼女は誇り高い冒険者であり、私の仲間です。私の仲間を侮辱なさらないでください」


グローシアはフンと鼻を鳴らし、


「サリスティー、はしたない真似はおやめなさい。そしてそこの者。エルフが偉いと思わないことね。この国ではわたくしに逆らわない方がいい」


そう言い残して去っていった。


「ごめんね、アクア…。もう少しの辛抱だから…」


「…サーラは悪くない」


アクアは俯いた。

サーラはそんなアクアを見て少し微笑み、いつものようにアクアの髪を綺麗に結いあげた。
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