もう一度君に会えたなら
わたしと彼のお父さん
 チャイムが鳴ると、わたしは席を立った。そして、わたしの席のほうに歩いてきた榮子と落ち合わせ、教室を後にした。

 中間テストが終わり、いつもよりはかなりいい成績を残していた。それは川本さんに勉強を教えてもらうために、分からない箇所を探すための勉強を頑張ったためだ。他のことには全く興味がわかず、いつもの試験の倍以上は勉強した。それを榮子に言えば、分かっているところを聞けばいいのにと苦笑いを浮かべられた。ただ、川本さん相手にそんな失礼なことはできなかった。

 勉強は試験前の日曜日に一日かけて教えてもらった。彼はすでに自分のものにしているのか、ものすごく分かりやすく教えてくれていた。

 両親は、特にお母さんは驚きと喜びに満ちた言葉を伝えてきた。
 同機はかなり不純だが、結果が良ければいい気がした。

 そんなわたしに勉強を教えてくれた川本さんの成績をちらっと聞いたが、数学以外はほぼ満点だったらしい。その数学も答えの表記のミスだけで、問題自体は解けていたようだ。本当に大学に行かないという選択肢がもったいなさ過ぎた。
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