笹に願いを
そもそものきっかけは、家だった。

両親とは10年前に死別。兄弟・姉妹は元々いない。
そんな孤独な身にあっても、私にはやりがいのある仕事があった。
20代後半から30代の主婦向け雑誌の編集という仕事は、楽しいし好きだ。
同年代の同僚たちとも仲良く仕事しているし、岡部編集長のことは、上司として尊敬しつつ、母のように慕っている。申し分ない環境だ。
だから私は、仕事をすることで、孤独感に押し潰されることもなかったんだと思う。

でも不意に、「家がほしい」と思った。

恋愛に枯れてることや、長年彼氏がいないことに対して僻(ひが)んではいない。
だけど寂しいと思うようになったのは事実だ。
厄年を過ぎて、35になって、40になってもたぶん・・・これからもずっと私は独身だろう。
そう思ったら、自分の居場所をきちんと定めたいと切実に思うようになった。

< 4 / 224 >

この作品をシェア

pagetop