オトナの恋は強引です！
ビールを出して、乾杯し、一緒にご飯を食べる。
「美味いね。」というので、
「インスタントのルーにトマトだからお世辞はいいよ。」と言うと、
「俺は料理人じゃないから、普段はこういうのがいい。」と笑って、
「この間はすごく迷惑かけました。サクラがいなかったら、
脳に後遺症があったかもって医者に言われて、
すごく怖かった。ありがとう。
サクラのおかげで、いつもの生活に戻れます。」と私に頭を下げ、
「命の恩人にお礼がしたい。何がいいかな？」と真剣に見つめる。
「大袈裟だな。」とご飯を食べると、右手を掴まれ、
「この傷って俺の歯の跡でしょ。本当にゴメン。」と顔を歪める。
「こんな傷は直ぐに治るし、
あそこで、意識を取り戻してくれて本当に良かった。
竜二さんが普通でいてくれるのが、私も嬉しい。」と笑うと、
「お礼をしたい。欲しいものはないの？
俺ってお金はあるから、買ってあげられるけど。」と私の顔を見る。
「いらない。」
と言ったけど、握った手を離してくれなさそうだ。

「ご飯食べて。」と睨むと、手を離し、
スプーンでハッシュドビーフを食べ始めた。

「サクラ、お礼がしたい。」と私の顔を見る。
やれやれ。
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