その日、時間を見つけてやって来た両親にドラゴンは
「お嬢さんをください。」と頭を下げた。

ちょっと、暴走気味だ。

「付き合い始めたばかりじゃなかったのか!」と父に怒鳴られても
ドラゴンは頭を上げなかった。
「サクラ、どうなってる。」と言われたので、私もため息をついてから
ドラゴンの隣に座って
「結婚させてください。」と父に頭を下げた。


「あらあら、困ったわね。」と母が笑って、
「お父さん、ここで、許さないと、サクラは、帰ってこなくなっちゃうわ。」と声を出す。
「サクラが頑固なのは看護学校に行くって出て行った時で、わかってるでしょ。
卒業するまで帰って来なかったじゃない。」と顔をしかめる。
「私はいいと思うわ。片桐さん、頭を上げて。
お仕事はレストランの経営?」と名刺を見ながら母が聞く。
「マンションを数棟と、店舗を幾つか持っています。
サクラさんには経済的には苦労をかけずに済むと思っています。」
と言ったので、アニキが
「金持ちなんだ。」と横から、口を出す。
「新居は今、サクラさんが住んでいるマンションの一番上のフロアが
僕の自宅になっているので
そこに引っ越してきてもらおうと思っています。
屋上から、江ノ島の花火が見えますよ。是非、おいでください。」と笑った。
私も「へえ。」と声を出す。
「あそこの一番上ってペントハウスになってただろ。1人暮らし?」
とアニキが身を乗り出してくる。
「はい。通いのお手伝いさんが2人いますが。基本的には1人暮らしです。」とドラゴンが笑う。
「へえええ。すごいな。父さん、いいんじゃない。
竜二さん金持ちで、サクラにぞっこんだし。」とクスクスアニキが笑った。
「…勝手にしろ!!」と父はドアをバタンと閉めて出て行った。
「また、ご挨拶に来ます!」とドラゴンは大きな声を出す。

きっと父には聞こえてる。
返事はないけど。