ほんの少し前まで、私、九条悠乃(くじょう ゆうの)は運転手付きの車で学校に登校していたはずだった。

幼稚舎の頃からエスカレーター式で通っていた高校から、公立高校に転校して初日。

一時的に預けられている、ほとんど顔を合わせたことのない親戚の家から歩くこと、1時間。

迷いに迷って、学校に着いた頃には授業2時間目が終わろうとしていた。


2年3組の教室に入り、私は教卓の前に立つ。


「昨日話した通り、転校生の九条悠乃さんだ」


担任と名乗る男性教諭に紹介され、頭を下げる。


「九条悠乃です。付属高校に通っていましたが、父の会社が倒産しましたので学費が払えず、転校してきました。よろしくお願いします」


しーんと静まり返る教室。

そこに、彼がいた。

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