あの頃、きみと陽だまりで
5.おしえてよ





短い眠りの間に見た、夢の中。

カンカンカン……と踏切の音はうるさく鳴り続けて、私の耳を、塞いでしまう。



目の前にまた姿を現した彼は

やっぱり顔はよく見えないけど

口をひらいて、なにかを言っている。



なにか、伝えたいことがあるんだろうか。

口を大きく動かして、身振り手振りを繰り返す。

けど、踏切の音がうるさくて、その声は聞こえないよ。

伝えようとしてくれているのに

なにも聞こえないの。



耳を澄ましてみても

きこえ ないよ





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