呼吸(いき)するように愛してる
初めては、全部匠くん!
私の想いが通じた匠くんの誕生日。

かなり遅い時間になってしまったけど、誕生日用に焼いたチーズケーキに、ろうそくをつけた。

私が焼いたケーキだと言ったら、びっくりした匠くん。食べても「おいしい!」と言ってくれた。

まっ、あんなに期待の眼差しで見られたら、そう言うしかないだろうけど。

私が作っていた食事は、さすがに全部は食べられなかった。時間も遅くなっていたし、お腹が空きすぎて二人とも何だかよくわからなくなっていた。

私の場合、一番の理由は匠くんとの事で胸がいっぱいだったから。

食べきれなかったお料理は、翌日の朝食や、匠くんのお弁当になった。

念願だった匠くんのお弁当作り。「無理しないで!」と匠くんに言われたけど。

「“彼女”になったんだから、もっと匠くんの為にいろんな事がしたい!」

とウルウルの瞳で見つめて、匠くんにうんと言ってもらった。

このお願いの仕方は、大人になってからも効果的なようだ。

……“彼女”になったから、余計にそうなのかも……と思ったら、勝手に頬が緩んできてしまう。

私が家に帰る時、匠くんも一緒に来てくれて、二人で「お騒がせしました!」とお母さん達に頭を下げた。

お父さんとお母さんは、苦笑しながらも何も言わないでいてくれたけど、仕事から帰ってきて、事情を聞いていたお姉ちゃんは……

「『雨降って地固まる』て感じかしら?」

なんて、私と匠くんを見ながらフフフと笑った。

……もう、勘のいいお姉ちゃんは面倒なんだから!



朝、いつもより早起きをしてお弁当を作った。

今まで、ずっと見守ってくれていたみちるちゃんにもメッセージを送った。

『私の想いが、匠くんに届きました。また、話を聞いてね。今までたくさんありがとう!』

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