呼吸(いき)するように愛してる
『特別』にはなれなかった…
──春、小学校へ入学した。

やっぱり私は小さめで、ランドセルが歩いているようだと笑われた。

まっ、この時期は新一年生は、みんなそんな感じに見えるんだけど。

初めての小学校生活に、戸惑ったり、不安になったり……負けないくらい楽しい事もたくさんあった。

筆箱を出して、ノートやドリルを出して勉強をすれば、匠くん達に少しだけ近付いたような気もした。

そして私は、彼女……彼女達と出会った。

池田(いけだ) みちる。ツヤツヤのきれいなストレートの黒髪。意思の強そうな大きな瞳。お祖母ちゃん家で見た、日本人形のようにきれいだと思った。

くせっ毛の私は、すごく羨ましい。うちでは、私だけがくせっ毛だ。お祖父ちゃんがくせっ毛だから、それを受け継いじゃったみたい。

私ってば、あまり受け継ぎたくない所ばかり受け継いじゃうみたい……

私が住んでいる田舎の町では、小学校の『お受験』なんて存在しない。保育園から中学校までは、自分が住んでいる地域にある学校などに通う事が、ほとんどだ。

みちるちゃんとは、保育園は別々だったけど、小学校で一緒になった。

『一年B組』の、私が出席番号一番で、みちるちゃんが二番だった。

入学してすぐのクラスでの席順は、出席番号順になっていたので、みちるちゃんは、私の後ろの席だった。

いろんな活動の中で、班を作ってもみちるちゃんと一緒だった。

みちるちゃんは、とてもしっかりしていた。おしゃべりではないけど、自分の思っている事は、きちんと発言するし、周りの友達の事をよく見ていて、困っている友達がいたら、さりげなく手伝ってあげる。

同い年なのに『お姉ちゃん』みたいだった。みちるちゃんに聞いたら、弟も妹もいたので、やっぱりみちるちゃんは『お姉ちゃん』だった。

何を隠そう、そんなみちるちゃんに一番お世話をやかれたのが、私だったりする。

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