4.誤解 Dactylorhiza aristata

  取り返しのつかないことをしてしまった。
花名は本社一階に併設されたカフェで大きなため息を漏らす。純正のためにと取った行動が、あんなにも彼を失望させるような結果になるなんて思ってもみなかった。

昨日の夜、純正のマンションを飛び出して帰宅したけれど、朝まで眠ることができずにいる。

あの時の光景が何度もよみがえってきて、そのたびに自分のしたことを悔やんだ。このまま消えてなくなりたいと思うほどに。

 今朝、花名は六時に鳴りだした目覚ましを止めた。ベッドサイドにある鏡を覗くと生気のない青白い顔が映っている。

「こんな顔だもん、抱く気になれなくて当然だよね」

 花名は自嘲気味に笑うと、またベッドに寝転んだ。

幸い今日は非番だ。このまま夕方まで寝ていることだってできる。

けれど、けだるい体を起こして朝の身支度を整えると樹にメールを送った。