「あの、何をしているの?」
 キスが途切れた隙に問う。優輝は不機嫌な表情で言った。
「見てわかるだろう」
「見なくてもわかりますが……いや、そうではなく、なぜ?」
 胸を包んでいる優輝の手がわずかに動いた。心臓がドクンと脈打ち、思わず息をのむ。
「そんなこと訊いてどうする」
「だって……」
 いきなりこんなことされたら誰だって驚くでしょう。
 あれ、でも、キスしたら次は……うそ、これはいきなりじゃなくて、当たり前の展開だというの?
「パジャマ姿で目の前をうろうろされて意識するな、というほうがどうかしてる。俺も一応男なんだけど」
 頬から急速に血の気が引いていく。確かに私はパジャマ姿でも案外平気だとのんきに考えていた。ここに押しかけたあの夜も私はパジャマ姿だったし、優輝も『色気がない』と言っていたし。だからいつだって平然としていたんじゃなかったの?
 なんて考えている場合ではない。優輝はシャツのボタンを外しにかかった。
「ま、待って!」
「待たない」
 本当に待ってくれる気はないらしく、形よく伸びた長い指がシャツの前を開けていく。無駄な抵抗とわかっていたが、私は襟元を両手でぎゅっと握りしめる。
「ダメだって……」
「それ、むしろ誘い文句だから」
「え?」
 額と額がこつんとぶつかり、優輝と間近で見つめ合ったそのとき、彼の指が下着の中に滑り込んだ。誰にも許したことのない領域だというのに、私は祈るように目を閉じ、シャツの襟元をひたすら握りしめることしかできない。
 彼の指から感じる体温。シャツの上から触られたのとは全然違う強烈な刺激。
 嫌なら叫べばいい。きっと優輝はやめてくれる。
 だけど私は息を止めて、彼の指の動きを私のすべてで感じようとしていた。ゆるゆると肌の上を滑る指先が、ふくらみの頂点をかすめる。花の蕾のようなその部分に彼が触れた途端、背筋に電流が走った。
「……っ、ん……」
 甘い吐息が漏れて自分でも焦る。こんな声、私じゃない。だけど優輝が突起を優しく転がしたり弾いたりするたびに、甘ったるく喘いでしまう。我慢したくてもできないなんて、こんなの、私じゃない。
「かわいい顔してる」
「うそ」
「もっと見せて」
「ダメ……っ」
 目を伏せ、頭を振った。優輝のことしか考えられなくなりそうな意識をあちこちに分散させたかった。