同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
溺愛level5*焦って告白した結果


同居開始から二週間。

比留川くんとの生活にも慣れ、彼の言動にドキドキさせられることにも耐性がついてきた。

だからといって、恋心が落ち着いているかというと、むしろ全くの逆。

企画会議で完璧なプレゼンをして見せたその夜に、私の肩にもたれてうたた寝をしてしまう姿にきゅんとしたり。

仕事でささいなミスを犯してしまい落ち込んでいると、たまたま乗り合わせたエレベーターで二人きりになったときに頭をポンポンとされてその優しさにじーんとなったり。

私は、この人が好きだなぁ……と、家でも会社でもしみじみ思うことが多くなった。


「先輩、なんか最近さらにキレーになった気がするんですけど」


そんなある日、相談室に出勤するなり八重ちゃんにジロジロ観察されて、探るような口調で言われた。


「そ、そう?」

「そうですよ。もしかして、恋……してるんじゃありません?」

「あはは。どうかなぁ」


軽く笑ってかわそうとしたのに、八重ちゃんはなかなか引き下がってくれない。


「そもそも、みちる先輩に彼氏がいないっておかしいです。もしかして、相手が社内の人だから、私にも内緒にしてるとか……?」


……おお、なかなかスルドイ。


「……考えすぎだよ。八重ちゃんこそ、社長とどうなの?」


会話を逸らすため反対に質問してみると、途端にへらっとだらしない笑顔になった八重ちゃん。

そのわかりやすさには呆れてしまうけど、うまくいっているなら私も嬉しい。


「先週末……船に乗せてもらいました」

「ふ、船?」


思いもよらないシチュエーションに目を丸くしていると、八重ちゃんはうっとりと瞳を輝かせてその夜に思いを馳せる。


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